古着屋で、バーバリーのコートが数千円で吊るされている。状態も悪くない。ハイブランドのはずなのに、なぜこんなに安いのか。
結論からお伝えします。古いからでも、流行遅れだからでもありません。日本にだけ、特殊な事情があります。
日本では長いあいだ「バーバリー」の名前を冠した日本独自のブランドが作られていて、それが2015年に終わりました。 この一点で、いまの相場はほぼ説明がつきます。
2015年に何が起きたか
時系列で並べます。

| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 1970年〜 | 三陽商会がライセンスを受け、日本で「バーバリー(バーバリー・ロンドン)」を企画・製造・販売。1996年・1998年には日本独自の「バーバリー・ブルーレーベル」「バーバリー・ブラックレーベル」も展開 |
| 2015年6月 | バーバリーと三陽商会のライセンス契約が終了 |
| 2015年秋冬 | 後継として「ブルーレーベル・クレストブリッジ」「ブラックレーベル・クレストブリッジ」を立ち上げ(バーバリーの名前を外した) |
最後の行は、三陽商会の公式プレスリリースで発表されています。
この契約終了が事業に与えた影響は小さくありませんでした。報道によれば、三陽商会の売上高は2014年度の1,109億円から、2016年度には676億円まで落ちています。 約4割の減少です。
それだけ大きな規模で、「バーバリー」の名を冠した製品が日本で作られ、売られていたということでもあります。
なぜ、それが「安い」につながるのか
ここからは、中古市場の単純な話です。
- 2015年以前、日本には「バーバリー」の製品が大量に流通していた
- 契約が終わり、新しく作られることはなくなった
- ただし、止まったのは新規の供給だけ。すでに世に出た大量の品は残り続けている
- 数が多く、しかも同じライセンス品を定価で買える新品市場がもう存在しない(バーバリー本体の新品は今も日本で売られていますが、別のラインです)
供給が多くて、比較対象になる新品がない。 この条件で相場が上がることはありません。だから安いのです。
よく誤解されますが、「作られなくなったから値上がりする」とは限りません。 値上がりしうるのは「もともと希少だったもの」です。大量に出回ったものは、作られなくなっても安いままです。
この対比は分かりやすいと思います。セリーヌのベルトバッグが廃盤になった本当の理由では、デザイナー交代でラインごと消えたケースを扱いました。同じ「供給が止まった」でも、もとの流通量がまるで違うので、同じ動きにはなりません。

古着の「バーバリー」には、2種類ある
ここが、この記事でいちばん実用的なところです。

古着屋やフリマで見かける「バーバリー」は、大きく2つに分かれます。
| 特徴 | |
|---|---|
| 英国本国のライン | バーバリー本体が展開しているもの |
| 日本のライセンス品 | 三陽商会が日本で作っていたもの。「BURBERRY LONDON」や旧表記「Burberrys」のコート・服の多くと、日本独自のブルーレーベル/ブラックレーベル |
安く売られているものの多くは、後者です。
見分けるいちばん確実な方法は、内側の品質表示タグ(洗濯表示が付いているタグ)の会社名を見ることです。日本で売られる衣類には表示者の名称を記す決まりがあるので、三陽商会が作ったものには「三陽商会」の名前が入っています。「ブルーレーベル」「ブラックレーベル」と書かれていれば日本独自のラインですが、「BURBERRY LONDON」や「Burberrys」と書かれたコートにも三陽商会製は多いので、ブランドネームだけで判断しないでください。
どちらが優れているという話ではありません。 日本のライセンス品は日本人の体型に合わせて作られていた面もあり、サイズ感で選ぶなら合うこともあります。ただ、値段の意味が違うことは知っておいたほうがいいというだけです。
「本国のラインが数千円で出ている」と思って買ったら日本のライセンス品だったという食い違いは、これで防げます。
では、どう選ぶか
古着で買うときに見るところは3つです。

- 品質表示タグの会社名を確認する ── 「三陽商会」ならライセンス品。どちらのラインかで、値段の妥当性が変わります
- ライナー(取り外せる裏地)の有無 ── コートは、これがあるかないかで実用性が大きく違います
- 袖口・襟・裾の擦り切れ ── ここが傷んでいると、着たときにいちばん目に入ります
状態については、ブランドが何であっても見るところは同じです。 財布の中古はやめたほうがいい?4つの理由を検証したでも書いたとおり、避けるべきなのは中古そのものではなく、状態を確認できないまま買うことです。

安いことは、恥ずかしいことではない
最後に、ひとつだけ。
数千円で買ったコートを着て、「安物だと思われないか」と気にする必要はありません。
他人にはあなたの服の値段は見えません。 見えているのは、その服が手入れされているかどうかだけです。この構造は財布でも同じで、40代の財布は恥ずかしい?半数以上は3万円以下という事実でも同じ結論を書きました。

むしろ、供給が多くて安いということは、状態の良い一点を選べる余地が大きいということです。 同じ予算で選択肢が多いのは、買い手にとって有利な条件です。
まとめ
- バーバリーの古着が安いのは、古いからでも流行遅れだからでもない
- 日本では三陽商会が1970年からライセンスで「バーバリー」を作り、日本独自の「ブルーレーベル」「ブラックレーベル」も展開していた
- 2015年6月に契約が終了し、秋冬から後継の「クレストブリッジ」へ(三陽商会の公式発表)
- 契約終了前の流通量が非常に大きかった(三陽商会の売上高は2014年度1,109億円と報じられている)
- 新規供給は止まったが、すでに出た大量の品が残っている → 相場が上がる理由がない
- 古着の「バーバリー」は本国ラインと日本のライセンス品の2種類。品質表示タグの会社名(三陽商会)で見分けられる
- 選ぶときはタグ・ライナーの有無・袖口や襟の擦り切れの3点
「なぜこんなに安いのか」が分かれば、不安ではなく、選ぶ基準として使えます。

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